『ワールドエンドヒーローズ』メインストーリーのパートボイスによる演出について
ワールドエンドヒーローズ3周年おめでとう!!!!!!!!!!!!!!!
早いものでこのブログも書き始めてから2年の月日が経ちました。
開設当初こそ、万人に読んでもらえるようなポップな(?)ブログを目指していましたが、最近はもう開き直って好き勝手の極みを書き散らかしています。今年は各キャラクターについての記事を滾々と書いているのですが、2年たってもまだ書きたいことが山盛りあるワヒロはすごい。キャラ記事一周したら別の話題をまた書きたいと思っております。ワヒロを遊び尽くす……骨の髄までな……!!!
しかもアニメディアさんでの連載やB's-LOGさんでの特集など、オフライン版に移行してなお新しいお話が読めるという環境で、関係各方面の皆様には感謝しかありません。本当にありがとうございます。ラブ・・・
今後も各媒体についていって、全力で楽しませていただこうと思っております!!なにとぞよろしくお願い申し上げます!!
ということで今回は今年通例のキャラについてではなく、別視点からメインストーリーを再考する記事です。
いま再考する、と言いましたが、今回は周年のお祝いにかこつけた完全なるおふざけ記事なので、なにもかも大目にみてください。3周年ありがとう!!ハッピー!!
それでは、この記事は、ワヒロにおける"声"の演出について考えたりここ好きしたりする記事です。
『ワールドエンドヒーローズ』はキャラクターボイスがついているタイプのソシャゲです。
各キャラクターのセリフが公式サイトやアプリに収録されており、オンライン版ではミッションに応じた報酬としてセリフが解禁される仕組みでした。オフライン版アプリでもキャラクターのページでセリフをすべて聴くことができます。
それだけではなく、ストーリー内でもボイスを聴くことができます。
昨今はフルボイス、つまりシナリオのすべてに声がついているゲームも珍しくなくなってきましたが、『ワヒロ』ではシナリオの一部分のみボイスが再生されるタイプの演出が採用されています。記事内ではパートボイスと呼称しますが、容量的な制限が大きいアプリゲームではよくある表現方法なのではないでしょうか。
パートボイスは、個別ではなく様々な内容の文章に合わせて再生されるという特性上、すべてのキャラクターに共通した汎用性の高いフレーズが採用されると思います。たとえば「笑い声」とか、「溜め息」、はいやいいえの「返事」、「相槌」みたいな感じのやつですね。なんですが、『ワヒロ』のストーリーを読んでいると、なんかすごくボイスのバラエティが豊かな気がする。もしかしたら近年のパートボイスはこんな感じが当たり前なのかもしれませんが、私はけっこう、ストーリーを読んでて「えっそんなボイスも入ってるの!?」と思うことが多かったんです。
それがずっと気になっていたので、今回、メインストーリーに収録されている全キャラ/全ボイスを分類・カウントし、どういう演出になっているのか調べてみました。調べるにあたっては、メインストーリーを周回し、人力で聞き分けを行い、手計算で計上するという非常に原始的な方法を採用しました。バカなのかな?
その集計結果がこちらです。
※一部
バカなのかな?
めちゃくちゃ軽い気持ちで始めたんですけど思いのほか、本当に想定外に収録ボイスが多くて、大変なことになりました。
本当ならここでデータを公開したいところなのですが、先述の通り独力での聞き分けなので、正確性が無くデータの詳細をお伝え出来ないことを申し訳なく思います。
上の画像は使用回数と初出話数を採った表なんですが、周回している途中で「あれ…もしかしてこの『はい』とさっきの『はい』って違うボイス…!?」ていうことが頻繁にあって、数も初出話数もまったく信用ならないデータなんですね……指揮官の皆さんは三津木慎くんの「でも」が2種類あること、ご存じでしたか……?私はこの作業をやるまで気が付きませんでした……
なので以降、こうして取ったデータをもとに感想をお話ししていくんですが、きっちり正確に検証した内容ではないということをどうぞご了承ください。中途半端ですみません……。これよりあとは、全部の文末に「まあだいたいそんな感じ、知らんけど」ってついてると思って読んでください。よろしくお願いします。
また、本来ならイベストも含めて検証すべきだと思うんですが、マジであまりにもやべえ作業量になってしまったため、今回はメインストーリーのみに絞ってお話していきます。
「絶対聞いたことあるはずなのにメインストーリーに出てないボイス」というのがけっこうあって、イベストでしか使われていないパートボイスとか、一か所だけしか使われていないボイスもかなり存在しそうです。
一応、回収したボイスを資料としてここに置いておきます。
記事を読んで「ほんまにそんなボイスあるんか?」となったときにご活用ください。
(※録画漏れもあって、全てのボイスを網羅しているわけではないです。)
※こちらの動画は資料用であり、またストーリー読破済の方のご視聴を想定しています。本編の演出のイメージを損ねたくない方は視聴に十分ご注意ください。詳しくは動画の概要欄をご参照ください。
●汎用ボイスと非汎用ボイス
ボイスを集めていると、「どうも一部は同じ台本を使っていそうだな」ということに気づきます。
たとえば「うん」「いや」「いいえ」などは共通した台本のようです。
他にも「うーん…」「はあ(溜め息)」のような感情的なものや、「でも」「だから」といった接続詞も共通してボイスがありました。
で、この汎用セリフの数がまあ多い。そこの違い分ける?っていうような細かい感情の違いも別々にボイスがあって、なんというかこだわりを感じました。最近のゲームはこのくらい当たり前なんですかね……?ちょっと比較対象が無いのでわかりませんが、私個人としてはかなりこだわって作られているという印象を受けました。
たとえば"言い淀む"というしぐさに対して、「えっと、」「え~っと」「あー…えっと…」という3段階くらいの感情違いのボイスが、全員分*1収録されているわけです。なんかすごい(小並感)。
またそもそもの採用ワード自体も豊富で、先ほど言った返事・相槌・感情表現、接続詞のほかに「攻撃ボイス」「被ダメボイス」と思わしきもの、「行くぞ」「待て」「気をつけろ」のような戦略を示すボイス、そしてお互いの名前を呼ぶ人称系のボイスが存在します。名前を呼ぶボイスに至っては、少なくとも全員2種類ずつ存在するようです。たぶん平時と戦闘時で呼び分けをしているのだと思います。
こうした汎用セリフとは別に、キャラごとの専用のパートボイスが存在します。
例えば佐海くんの「サイテー」とか、浅桐さんの「ドラマチックだ」、ヒメさんの「フランクに」のようなボイスは彼らの専用セリフです。
専用セリフはキャラクターによってかなり仕様が異なり、複数あるキャラもいればひとつもないキャラもいました。これはメインストーリーで使われていないだけ、という可能性がかなり高く、更なる検証の余地があります。
そしてこれらの中間のような、"汎用の枠内だが他のキャラと言い回しが異なる"というセリフ群も存在します。
たとえば、接続詞的な使われ方をするボイスで「だから」という汎用セリフがあるのですが、七見薔明は「だから」というワードを使わず、「ゆえに」と発話します。
浅桐真大や北村倫理など、特徴的な言い回しをするキャラクターは、汎用ボイスの中でも独特の言い回しを発揮しているようでした。こういうところにも細かいキャラクター演出の気遣いが感じられます。
●一番よく使われているボイス
Q.メインストーリー内で一番たくさん聞くボイスは何なのか?
A.浅桐真大の笑い声
これはかなり圧倒的でした。笑い声のボイスも各キャラ複数種類あるのですが、浅桐さんは全部の笑い声を合わせてメインストーリー内で77回笑っておられます。
特に「ヒッヒッヒッヒ」という、"笑い声(中)"くらいのイメージのボイスが多く、これだけで33回笑っております。ようわろとる。
でもこれ個人的には結構意外でした。浅桐さんって「ヒーッヒッヒッヒ!!」ていう高笑いのイメージが強かったんですよね。でもそっちよりも中くらいの笑い声の回数の方が多かった。あと「ハッ(笑」みたいな、一笑に付す感じのボイスも回数が多かったです。
ボイスの回数というのは出番に比例すると思います。実際主人公である慎くんの、「うん」「はい」のような相槌系のボイスもかなり量が多いです*2。でも浅桐さんの場合は、ストーリーの中枢から離れている時間もあるにもかかわらずこの回数なので、かなり頻繁に笑っていることがわかりますね。笑い声が特徴的なので印象深いんだと思っていましたが、実際に一番たくさん聞いていたとは。新たな知見を得た。
ちなみに回数が少ない方については、メインストーリー中1度しか使われてないセリフというのがたくさんあるため特徴をピックアップできませんでした。
「ボイスの種類が少ないキャラ」ということで言うと、寿史くんや柊くんが総数が少ない印象です。これは出演シーンの総時間や、シーンのシリアスさが影響しているのだと思います。全キャラで一番使用セリフ数が少ないのはユウナギちゃんです。
●一番名前を呼ばれた人
ストーリー中ではヒーローたちがお互いの名前を呼ぶ光景がよく見られますが、シナリオ内の文字としてではなく、パートボイスで名前を呼ばれた回数を計上してみたところ、一番名前を呼ばれているのは慎くんで回数は42回でした。さすが主人公といった結果。次いで光希くんが27回と二番目に多く、この二人は全キャラ総合の回数だけでなく、「単一のキャラが別のキャラの名前を呼ぶ回数」としてもお互いの名前がワンツーフィニッシュでトップの回数を誇っています*3。やはりメインストーリーは慎くんと光希くんの物語であるなあというのが数字からも感じられますね。
意外だったのが、全てのキャラが、ほかのキャラクターから複数回名前を呼ばれています。平均して約15回ずつくらいなのですが、その回数に極端な差があまりありません。登場シーンの多少によって回数がデコボコするかと思っていたのですが、全員が平等にお互いの関係性を見せる演出がされているみたいです。なんとなく配慮というか、気遣いを感じました。「『ワヒロ』はお話を読んでいるうちにキャラクター全員を好きになる」って、ストーリーを読んだ方にけっこう共通する読後感かなと思っているのですが、こうした演出上の細やかな気遣いによるものなのかもしれないなあと思いました。
ちなみに、「指揮官」と呼び掛けてくれる回数はヒメさんが15回で一番多く、次いで神ヶ原さんが14回でした。圧倒的職務上の理由。メインストーリー上では、指揮官の立ち回りはALIVE社内での交流が主体で面白いです。特に第1章あたりだと、神ヶ原さんのボイスの種類が誰よりも多くて「まさか神ヶ原さんがボイス数トップを独走するのか…!?」とすら感じてかなり面白かったです笑。その後ヒーローたちの掛け合いに追い付かれるのですが、やはり『ワヒロ』の物語は"ヒーローと指揮官(プレイヤー)の人間関係の物語"ではなく、"ヒーローたちの活躍の物語"であることがこうした数字からもうかがえますね。
あと名前といえば、矢後さんが柊くんを呼ぶときの特殊セリフがあるんですよね……!104話の戦闘シーンで「霧谷、ぶっとばせ!」と声をかけています。これなんで!?すごいびっくりした。「霧谷」と「ぶっとばせ」と別々のボイスをくっつけてるのかなとも思ったんですが、どうも一つの素材に聞こえるんですよね……矢後さんはメインストーリー中、他キャラの名前を呼ぶ回数が少ない方*4なので、余計に不思議な感じがします。
●舌打ちする人しない人
「汎用セリフだけど全員が使わない」というボイスもどうやらあるみたいです。
これは「全員ボイスがあるけどメインストーリーでは使われていない」というものとは違い、おそらくキャラクターによって"言う(ボイスがある)"と"言わない(ボイスが無い)"が分かれているセリフだと思われます。たとえば肯定のセリフを、「はい」と返事するか「ああ」と返事するか、みたいな違いですね。「ああ」と言うキャラクターには「はい」のセリフが無いわけです。
こういうセリフ群ですごく面白いな~と思ったのが「舌打ち」のボイスです。舌打ちするキャラ、しないキャラというのが明確に線引きされているんですよね。
個人的にはすごく納得できるところが多い線引きです。ただもしかしたらヒーローに関しては、舌打ちしない人でもイベストで舌打ちしてる可能性があるかもしれませんが笑。
こういう演出にもキャラクターの性格の違いが感じられますよね。ヒーローの中で舌打ちの回数が一番多いのは武居くんで、次いで矢後さんという順番でした。矢後さんは舌打ちにバリエーションがあり、2種類の舌打ちボイスがありました。
舌打ちする側に好戦的な人たちがラインナップされる中、巡くんが紛れ込んでいるのがすごくなんか、ツボでしたね……いいよね……
意外と頼城さんとかは音声としては舌打ちしてないんですね。
頼城さんは、文字としては「だが」と表現されてるところも音声では「だけど」になっていたりして、言葉遣いの品の良さが垣間見える気がします。
●笑ったり悩んだり
さっきもちょっと触れましたが、同じ"笑い声"でも種類がすごく多い。そして、その使われ方にすごくキャラクター間の差があります。浅桐さんはたくさん笑うし笑い声の種類が多いけど、逆に柊くんはメインストーリー中一回も笑い声をあげません。メインストーリーがいかに柊くんにとって過酷なものだったかをひしひしと感じる……。
全キャラで一番笑い声の種類が多いのは角来で、「ハッ」「フッ」「ククッ」「フハハ」「ハハハ!」「ギャハハ!」と6種類くらいの笑い声があります。すごい。メインストーリーの敵という立ち位置なのにこのこだわりよう。
ほかにも「フッフッフ~」と笑うキャラが複数いたり、倫理くんの「うしし」という笑い声だったり、伊勢崎くんの「わっはっは!」だったり、笑い声はキャラクターの個性がかなり演出されているボイスのひとつですね。
同様にバリエーションがあって面白かったのが悩んでいるときのボイス。「ん~」「うーん」「うう……」「うっ……」みたいな、そんなうなり声に感情乗ることある?と思って集計してて楽しかったです。声優さんって、すごい……
特によく悩んでいたのが久森くんと戸上さんで、個性を感じてなんか笑ってしまいました。悩みの方向性も違って、戸上さんは「うーん」という考え込むボイス*5が多いのですが、久森くんは「うう……」と明らかに困ってます感があって*6、性格だなあと思いました。
●773-B
わりと今回の記事の目玉的なところというか、ここをずっと検証したかったんだよというところです。
以前透野光希くんのことを書いた記事で「773-Bの自我がよくわからない」っていう話をしたのですが。
みなさんご存じの通り、透野光希くんのキャラクターボイスを担当されているのは、緒方恵美さんです。
ですが光希くんが773-Bになっている間、パートボイスを担当されるのは櫻井孝宏さん。七見薔明の声優さんです。
これが結構ずっと気になっていて、今回、七見のボイスと773-Bのボイスをじっくり聞き比べてみました。その結果、七見のパートボイスと773-Bのパートボイスは、完全に同一のものでした。聞き比べは"舌打ち""笑い声""ダメージボイス"、そして「許されまい」というセリフでできました。
つまり、光希くんが773-Bになっているあいだ、その自我は完全に"七見薔明の自我"として演出されているということがわかるわけですね。
次に、773-BのCVが切り替わるタイミングを調べてみました。
773-Bが登場するのは、メインストーリー第4章93話。ですがここの773-Bのセリフには、パートボイスが付与されていません。この登場からしばらくの間、773-Bのセリフは文字としては有っても、音声が付随しない演出が続きます。
そして初めて773-Bのセリフにパートボイスが付くのが第5章103話。慎くんと会敵、戦闘しているシーンのこのセリフ。
「そうして、元の俺になる。」
ここからです。元の俺になる、と宣言するこのセリフから、キャラクターボイスが櫻井孝宏さんになります。
このあと、一瞬光希くんの自我が表出するシーンで緒方恵美さんのボイスが使用されるものの、基本的には櫻井さんのボイスのまま戦闘が続きます。
では、いつ緒方さんのボイスに戻るのかというと、同105話「覚悟」で慎くんの名前を呼ぶシーンからです。
そして、テキスト上では"773-B"なのか、"透野光希"なのかわからないまま、ゲート前にたどり着くこのシーン、
ここでは名前の表示が無い上に息遣いだけの音声ですが、ちゃんと緒方恵美さんのボイスが使用されています。
寿史くんは光希くんの心が"透野光希"であることを見抜きましたが、正しくキャラクターボイスによってその演出がなされているんですね……
ここの演出は本当に凝っていると思う。検証して結果が得られたときは鳥肌立ちました。
何度も言うけど本当に声優さんってすごくて、同じ音声が使われているはずなのに場面によって全然違う印象の声に聞こえるんですよね……すごい技術だ……773-Bの笑い声は七見薔明の笑い声と全く同じはずなのに、なんだか光希くんが笑っているような感じに聞こえるんですよ。
光希くんだけじゃなく他のキャラクターでも、同じ音声のはずなのに場面によって受ける印象が変わって、前のストーリーに戻って聞き直し・聞き比べするっていうことが本当にたくさんありました。声の演出ってすごい。
●終わり
というわけで、ざくざくとパートボイスをまとめた感想を書いてきました。
普段物語について考える記事とかを書いているわけですが、ボイスの演出という視点で見ても練られた作品だなあ…ということに気づけてとてもうれしいです。イベストのボイスも併せて検証したい……という気持ちだけはあるのですが、ほんとに、マ~~~~~ジでこれ数えるの大変だったのでちょっとしばらく置いとこうとおもいます…笑。いつかやります、いつか……(フラグ)
さて、改めましてワヒロ3周年おめでとうございます!!!!こうやっていつまでも楽しめる作品を生み出してくださり、そして展開を続けてくださってありがとうございます。今後もたくさん楽しんでいくので、どうぞよろしくお願いします!!ハッピーアニバーサリー!!!!!