ヤッターオタクたのしい!!

ワーーーーイ!!

三津木慎の選択

 

 三津木慎くんお誕生日おめでとう!!!!!!!!!!!!!!!

 

f:id:kiki8138game:20220123230828j:plain


 慎くん……好きだ

 
 今回は慎くんのことについて考えていきたいのですが、慎くんはワヒロの主人公なので、慎くんが背負っているものがイコール『ワールドエンドヒーローズ』という物語の主題であると思うのですよね。

 そして、その慎くんが背負っているテーマというのは、わざといろんな解釈ができるように演出しているんじゃないかなあと思っております。もちろん他のキャラクターも同様に、色々な見方ができるのですが、慎くんに関してはより解釈のバッファが広いのかな~という印象です。主題を背負うという性質上のものなのでしょうね……

 そういうわけで、今回はより私個人の解釈に偏ってしまう*1と思うのですが、ざっくり慎くんのテーマについて考えていきたい所存です。よろしくお願いします。

 


●それがお前の選択ならば

三津木 慎
心優しい、素直でまじめな理系少年。
「人の役に立てたら幸せ」という思いの強い、縁の下の力持ち。
高校入学以前は体が弱く、学校を休みがちだったため、
クラスメイトの記憶に残らないくらい影の薄い存在だった。
止まっていた時間を取り戻すべく、日々努力をしている。
公式サイトキャラクター紹介より引用)

 

youtu.be


 慎くんのストーリーは本編+イベント『ALIVEヒーローフェスティバル』で完結するのかなあと解釈しているのですが、やっぱりこの慎くんの物語の肝は"存在意義のなかったものが、存在意義を獲得する"っていうところだと思うのですね。
 「いてもいなくても同じ」という評価を自他ともに受けていた慎くんが、自己を獲得する物語だと思うのです。

 慎くんが光希くんと浅桐さんと、そしてヒーローたちみんなと出会い、「世界を守るヒーローを守りたい」という意志を持ち、最終的にその意志を徹してヒーローたちを守る。その結果、慎くんは「いてもいなくても同じ」ではなく、光希くんをはじめ、ヒーローたちみんなに、ひいて世界に必要とされる。そういうストーリーになっていると思います。
 そして、慎くんをそのようにヒーローたらしめるのは、常に慎くん自身の自認と選択なのです。慎くんにおいて、存在意義とは自認と選択によってもたらされる。

 ここ、この"自認と選択"が物語の主題なのではないかと、私は思っているんですね。

 

 物語の始まる時点では、慎くんは自分についての認識が人任せな状態です。このことは、慎くんのサイドストーリーに詳細に描かれています。

f:id:kiki8138game:20220123231616p:plain

f:id:kiki8138game:20220123231639p:plain

f:id:kiki8138game:20220123231538p:plain

サイドストーリー2話「変わらないままで」より

 

 「お母さんに言われたから、自分は体が弱く何もできないと思っている」という状況です。

 母親からの影響という点で言うと、久森くんについて書いた記事の中でもお母さんからの影響を受けていることに触れたんですが、久森くんが志向性(普通を目指す)という点で影響を受けているのみなのに対し、慎くんは明確に自認を母親に委ねている状況からスタートしています。 
 久森くんの記事では、意外と本人が普通でないことを自覚しているな~という感想を述べたのですが、ここに明確な描き分けがあるんですね……久森くんは自認という点においてはかなりしっかりと自立しています。

 

 それがヒーローとの出会いにより、一変します。ここで慎くんは、これまでの(母親に委ねていた)自認を揺るがす見解を光希くんから受け取り、

f:id:kiki8138game:20220123232023p:plain

f:id:kiki8138game:20220123232100p:plain

第1章2話「不思議な少年」より

 

 そして、ヒーローになることを選択します。

f:id:kiki8138game:20220123232215p:plain

f:id:kiki8138game:20220123232236p:plain

第1章2話「不思議な少年」より

 

 シナリオの文章から見ても、慎くんが"選択する"シーンであることが明解にされていますね。

 

 こうしてヒーローになった慎くんは、守りたいものを「ヒーローであるみんなの運命」と定めて戦いに身を投じることになります。

 この戦いは世界を守る戦いであり、その決着を左右する鍵のように慎くんは描かれていくかに思えますが、実際のところはそうではありません。ここがすごくミソで、面白さを感じている部分なのですが、実は慎くんは、世界の命運に関する戦いの、戦況を左右する選択においては、関わっていないのです。

 戦局を変え道を切り拓いているのは、武居一孝であり、浅桐真大です。慎くんは運命の分岐点として扱われているものの、戦局を動かしているわけではありません。もしその場に慎くんがいなかったなら、別のヒーローが分岐点として存在したでしょう。読者のみならずALIVEのヒーローもUNKNOWNも、慎くんがカギになる"と思い込んでいるから、そうなっている"のです。

 

 慎くん自身の戦いが描かれるのは、100~105話の773-B戦。光希くんについて書いた記事でも触れましたが、この773-B戦では、"自己承認と他人からの承認"が描かれています。

 「僕自身は、ヒーローである」

 「僕を助けてくれた、君はヒーローである」

 こうした自認と承認が、光希くんを救うことに繋がります。そのあたりは過去の記事で書いているので、良かったらそちらも併せてご覧ください。

 

 そして、この戦いに身を投じることへの慎くんの決意は、かなり念入りに、丁寧に描写されています。

f:id:kiki8138game:20220123232505p:plain

f:id:kiki8138game:20220123232532p:plain

f:id:kiki8138game:20220123232553p:plain

f:id:kiki8138game:20220123232613p:plain

第5章100話「自分の正しさ」より

 

 自問自答の末の"選択"が、慎くんを戦場へと導きます。

 

 各話タイトルも秀逸だと思う。100話「自分の正しさ」の、この"正しさ"って、正義や正確性という意味ではないですよね。"自分の、自身らしさ"という意味だと思います。「この行動をする自分が、僕にとって正しい」という"正しさ"です。ワヒロはこの意味の"正しさ"をよく使う物語で、他のキャラやストーリーを解釈するうえでもよく対面する概念です。自認を自己決断を描くことに余念がない。

 もうこのシーンの慎くんは、母親に自己解釈を委ねていた慎くんではありません。己を問うて、己を見つけた慎くんです。

 

 慎くんのこの決断のシーンと戦いとを経て、物語は最終決戦へと向かい、そして辛くも世界を守ることに成功します。そして、失ったものと直面します。

f:id:kiki8138game:20220123232811p:plain

f:id:kiki8138game:20220123232836p:plain

f:id:kiki8138game:20220123232909p:plain

f:id:kiki8138game:20220123232931p:plain

第5章109話「世界の最後」より

 

 この演出が本当に好きで……

 指揮官(プレイヤー)は今まで、ヒーローたちの活躍を見守りながら、システムとして「どちらを選んでも結果が変わらない選択肢」を選び続けてきたわけですよね。
 そしてこの重大なシーンで、いつもの「選択肢」が出る。この、指揮官(プレイヤー)が有する決断の権利を、三津木慎が壊し、奪い取っていく。ヒーロー三津木慎にしか変えることのできない運命を、彼自身の決断によって掴み取っていく。

 運命を変えるのは指揮官ではなく、いつだってヒーローであった。そしてこの、指揮官から選択肢が奪われ、物語の流れが大きく変わるこの瞬間が、運命が変わる瞬間であり、ヒーロー三津木慎が一番ヒーローである瞬間なのです。ヒーローは、運命を変えるからヒーローなのです。

 そしてこの慎くんの決断は、慎くんの守りたいもの、すなわち「ヒーローであるみんなの運命を守ること」に由来しています。ヒーローであるみんなの運命、それはこの物語が始まるまでに、あるいは始まってからこのシーンまでの間に、ヒーローたち自身が決断し選択した結果です。そうであるということが、慎くんの決断の前にじっくりと描かれます。選択しなかった彼らが、立ち向かわなかった彼らが、どうなるのか。
 この演出は非常に感傷的ですね……どうしても、ヒーローたちの"選択"の重みを考えてしまう。命や、在り方や、矜持や、愛情を、全て賭けて選び取ってきて、その果てにこの場所で戦ったのだということを思ってしまう。
 慎くんは、それをなかったことには絶対にしたくない。彼自身がヒーローの自認と選択に向き合い、その重みを身をもって知っているからです。

 

 そしてだからこそ、慎くんの選択を受け入れられない光希くんがいます。

f:id:kiki8138game:20220123233202p:plain

第5章109話「世界の最後」より


 慎くんと光希くんは、お互いがお互いのヒーローである。救い合う存在だからこそ、光希くんは慎くんを必要とします。

 光希くんが慎くんをヒーローとして必要とする世界は、「三津木慎がいてもいなくても変わらない世界」とはもう違うものです。
 別の世界線、別の運命。
 その運命は、三津木慎が自己と向き合い、選択の果てに掴み取ったもの。
 たとえ記憶がないとしても、それはハッピーエンドなのではないかと、私は思うのです。

f:id:kiki8138game:20220123233345p:plain

サイドストーリー4話「矛盾する証明」より

 

 

●それは明日を生きること

 1周年記念イベントとして開催された『ALIVEヒーローフェスティバル』では、慎くんと倫理くんの友情、そして目指すものが語られます。

 三津木慎というヒーローは、これまで一貫して自己犠牲のヒーローでした。自分自身がヒーローであるという自認を獲得しても、「自分はいなくても変わらない」という自己評価を最後まで覆すことができなかったからです。

 だからこそ、このイベントでは、"三津木慎が他者(世界)に認められる"という物語が描かれます。そしてその発端が「変わった自分を亡き母親に認めてもらう」という、慎くんの非常に個人的なこだわり、欲求に基づいているわけです。

f:id:kiki8138game:20220123233547p:plain

『ALIVEヒーローフェスティバル』4話「今の僕にできること」より

 

 慎くんの優しさ、精神の美しさそのままに、自己犠牲のヒーローの「その先」を描く、とても巧みな物語だと思います。

 ワヒロの物語は、自己犠牲を決して肯定はしていない。ワヒロは生きることを、どう生きるかを描いている物語だからです。そして慎くんにも、ヒーロー三津木慎として、「どう生きるのか?」というテーマが与えられ、描かれています。

 だから私は、この『ALIVEヒーローフェスティバル』までが、三津木慎というヒーローの物語であると思っているんです。メインストーリーでは完結していない。慎くんは世界を守り、ヒーローとして戦う。それだけでなく、三津木慎自身として生きていく。

 これが描かれてはじめて、三津木慎というヒーローの物語になると思うのです。

f:id:kiki8138game:20220123233723p:plain

f:id:kiki8138game:20220123233750p:plain

[光の向こう、その先へ]三津木慎カードストーリー「2mmの前兆」より

 

 

●おわり

 今年も慎くんのお誕生日のお祝いができて、指揮官は、うれしい……
 語っているうちにだんだんヒートアップしてしまい、読みにくかったらすみません笑。
 慎くんはもちろんなのですが『ALIVEヒーローフェスティバル』のイベントが大好きなのでそれはまたどこかでお話しできたらいいなあと…思います……

 そして、1年をかけてキャラのお誕生日ごとに毎回感想文記事を書いてきたのですが、これで全ヒーロー分の感想文を書くことができました!!ありがとう!!たくさん書かせてくれてありがとう!!BIG LOVE
 書き切れていないことや語り足りないこともあれこれあるので、これからももっともっとワヒロを楽しんでいきたい所存です!!

 それでは慎くんハッピーバースデー!!!!!盛大に祝ってやる!!!!!!おめでとうありがとう!!!!!!

 

 

apps.apple.com

play.google.com

*1:Q.解釈が偏ってるのはいつものことでは?
A.それはね、そう。