ヤッターオタクたのしい!!

ワーーーーイ!!

霧谷柊は共感の主人公である。

霧谷柊くんお誕生日おめでとう!!!

 

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 柊くんは、本当にうちにきてくれなかった……
 あんなにガチャ回転させてたのに結局SSRどころか、なんなら恒常SRすら1枚いなかった。*1
 柊くんは警戒心と独立心が人一倍強いような子なので、ガチャの排出率*2にまでらしさがある(?)
 私みたいなやや根性論の入った社畜指揮官が出る出ないじゃない出すんだよォとガチャを大回転させているALIVEには来づらかったでしょうね……わかる……柊くんはそういう子だよ。はかどるロールプレイ(ポジティブ)


 そんな感じでオンライン版ではやや疎遠だった柊くんなので、こうやって改めて文章にするにはおこがましいのかなと感じるところはあるのですが、せっかくお誕生日なので……
 ワヒロのキャラクターは全員「なにかの主人公」に相当する物語を持っていて、そんな"主役"達が大勢いる中であえて三津木慎が主人公、っていう構造なのかなあと思っているので、霧谷柊はどういう物語の主人公なのか、というところを考えてみたいなあと思います。

 


●主人公の資質

 まず「物語の主人公とは」というところを整理しておきます。
 主人公とひとくちに言ってもいろいろなタイプがいて、ストーリーによって異なる役割が求められていると思います。語り手、問題解決、プレイアブルなアバター、物語テーマの実行と伝達、感情移入の対象などなどです。そしてどの役割を担うかで、主人公に求められる資質も変わってきます。
 たとえば語り手であれば、俯瞰的な立ち位置が求められる。操作キャラクター、アバターとしての主人公であれば、没入感のための無個性さが必要となりますよね。
 柊くんが「物語の主人公」相当のキャラクターとして描かれているのであれば、その主人公に準ずる資質を備えているはずです。

霧谷 柊
寡黙だが意志の強い、少し潔癖気味な少年。
口数が少なく、大勢での行動を嫌うため冷たく見えるが、
心持には年相応の幼さが残っている。
伊勢崎や佐海と同じ養護施設の出身で、
現在も施設に通う子どもたちのことを特に大切に思っている。
公式サイトキャラクター紹介より引用)

 

youtu.be
 柊くんのキャラクター紹介からは、意志の強さと少年らしさ、身内思いの優しさが読み取れます。どれも英雄譚のヒーローとしての資質らしいと言えそうです。

 


●持たざる者

 ところで私、霧谷柊というキャラクターがすごくえげつない設定だなと思うところがあるのですが、それは「彼がラ・クロワ学苑のヒーローである」というところなのです。

 

 ワヒロの世界で、ヒーローの能力は「血性」に左右されます。この「血性」とは生まれ持ったもので、血筋・家系に依存するものです。
 他人の為に命を賭すような善人でも、血性が無ければヒーローになれない。倫理観のない人間でも、血性があればヒーローになれる。ヒーローの強さは"才能"であって、本人の意志や努力ではどうにもならないことなのです。
 そんな世界にあって、ラ・クロワ学苑という高校は「ミュータント化手術を行い血性値を引き上げる」という方法で、なかば無理矢理戦う力を得ている異例な学校です。一見は、強く望めば力を手にすることができる、という理想を掲げた高校ですが、これは裏を返せば「元は持たざる者である」という事実に、他なりません。

 柊くんは養護施設の出身で、幼いころに施設へのイーター襲撃を受けており、その経験から「自分の力で、自分の大事なものを守りたい」という強い願いを持っています。それなのに、柊くんには血性が足りなかった。同い年で同じ養護施設出身の佐海良輔が高血性で、血統を貴ぶ白星第一学園のスカウトを受けていることを考慮すると、ここは対照的な存在なのだと思っていいと思います。柊くんは「持たない」側の人間として描かれているのです。

 以前、アニメ映画『ゲド戦記』制作のコラムを読んだことがあるのですが、その中に「物語の主人公は、はじめから特別な人とそうでない人に分けられる。"特別でない"主人公も、置かれた状況と経験によって、特別な存在になり得る」という解説がありました。

 (余談ですが、私は当時酷評されていた映画版『ゲド戦記』がとても好きで何度も見ています。ワヒロの空気感と似ているようなそうでないような独特の雰囲気があるので、よかったらぜひ見てください)

 柊くんの自らラ・クロワを選ぶ行動力、大事な皆を守りたいという優しさや守る力を得たいという強い意志、意志を通す覚悟、そういった美徳は柊くんが初めから持っている彼の資質です。
 でもその資質だけでは、ヒーローになることができない。
 実際戦いの中で、柊くんは一度変身能力を失い、戦うことができなくなります。

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本質が「持たざる者」であることが、ここでも表出してしまいます。

 しかし戦況が変化する中で、柊くんは彼自身の経験と資質によって行動を起こし、その行動が窮地に陥る頼城紫暮を救うのです。

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 そして霧谷柊は頼城紫暮から"力"と"理想"を継承し、最後の戦闘に赴きます。

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 99話「希望の金色」は"霧谷柊"の集大成。
 "100じゃない"ところも思うところがある……

 


●「成長する」共感の物語

 ワールドエンドヒーローズは言わずもがな「ヒーロー(英雄)」を主題とする物語です。様々な角度からヒーローという題材を描いています。この英雄譚というジャンルの骨組みの中に、「主人公の成長物語」というのがひとつあります。

 

 柊くんが担う、上でおさらいしたような物語は、明確に柊くんの「成長」と「継承」の物語です。力を求める柊くんが、力を得て、しかし失い、自らの資質でもって戦いに参入し、力と理想(テーマ)を継承する。キャンベルの「英雄の旅」で語られるような、英雄の成長そのものです。

 そして霧谷柊の物語として特徴的であるのが、"共感性の高い成長物語"であるという点だと、私は思うのです。

 ワヒロの主人公である三津木慎よりも、他の14人のヒーローの誰よりも、霧谷柊は「共感」しやすいキャラクターである。
 それは彼が、持たざる者であるからです。

 先に述べたゲド戦記のコラムにも終盤に出てきますが、この共感性と成長のバランスは非常に現代的な設定です。私たちの多くは持たざる者であって、明確な正義を理解したり、追い求めているわけでもない。なんのために、どのように戦うかはいつも曖昧で、ただ目の前にすべきこと、為したいことがある。そういった現代的な風潮と、霧谷柊の成長物語はとても波長が合う。私たち読者は、霧谷柊に強く感情移入し、心を動かされる。
 特に尖った設定を持つキャラクターが多く、様々に主張すべきテーマを携えて来るワヒロの人々の中で、柊くんが持つ共感性は特筆する価値のあるテーマだろうと思います。主張のぶつかり合いに揉まれながら、あるいはやり過ごしながら、感化されるのではなく等身大に成長していくという現代に適応したストーリーは、霧谷柊が「主人公に足るキャラクター」として描かれている、証左でもあります。

 そして彼が担うテーマが「共感」であるからこそ、柊くん自身の主張ではないというのが、彼の愛しいところだなあと思うのです。

 

 

●おわり

 実際、柊くんのいいところは物語性に終始するだけではなくて、もっとキャラクター同士の関係性のなかで可愛いところだったり、かっこいいところだったり色々あるのですが今回は「柊くんは主人公的な描かれ方なのか」というところだけをピックアップして考えてみました!
 お誕生日おめでとう……たくさんお祝いされて楽しく嬉しい良い日であるように……柊くんを前にするとどうしても激重感情祖母ムーブが止まらなくなる……すこやかでさいわいであれ……
 私もいちごのケーキでお祝いします!ハッピーバースデー!!

 

 

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*1:[放課後]霧谷柊。なので部活の印象がイマイチ薄い。

*2:被害妄想。